2009年8月3日月曜日

下痢にはなったけれど楽しかったこと

連日のスコールの影響で、湖に向かう道は絵に描いたようなドロドロ道だった。

シェムリアップから原付3人乗りで向かったわれわれ「トンレサップ湖探険隊」は、トンレサップ湖畔まで残り1キロほどの泥道で立ち往生。
「もう諦めて歩こう」という意見で一致した僕と将君を尻目に、探検隊唯一のカンボジア人であり、また隊長でもあるアダム君は「乗れ、心配するな、はやく!」と意気揚々、原付にまたがっている。僕ら一兵卒の人間に口を挟む猶予などなかった。太陽はもう手に届くところまで落ちてきているのだ!
「ベチャャャ〜〜」
凄い音に、恐る恐る振り返る。一番後ろに乗っていたはずの将君が泥だらけで倒れていた!やっぱり。。。
僕は叫んだ。「アダム君!僕はここからもう自分の脚で走る!もう君の後ろには乗りたくない」僕は裸足になって、スケートのような格好で走った(滑った)。手に持ったカメラを壊されてはたまらない。後ろでは泥んこの将君とアダム君が何度も転びながら、必死についてくる姿があった。

トンレサップ湖に着くと、まず僕がしたのは船頭さんにマルボロメンソールを献上したことだった。というのも、乗れと言われた船がとてつもなくオンボロだったため、何とか安全のうちにその航海を終わらせてもらいたいという願いを込めて渡したのだ。
これで安全運転のうちに船旅を終えられるだろう。「さぁ出航!」と、張り切っていると、いつの間にか、アダム君が船から降りて手を振っているのに気付く。しかもその手にはマルボロメンソールが!おい、アダム!どういうことだ!僕ら2人がいくら叫んでも、アダム隊長はただ笑って手を降るだけであった。

予想に反して船は順調に進み、トンレサップ湖上生活者の船の家に着いた。そこではワニが飼われていて、棒でつついて遊んでいると、比較的きれいな船に乗って西洋人観光客が大挙してやってきた。
彼らは僕に、「君たちはこのワニを食べるのか」と質問してきた。
僕はとっさにガイド役を務め、このワニは来週ミディアムレアで食べるだとか、ここで買えばワニ革が君たちの国の半額で買えるだとか、3日に1度は水上散歩をしないとストレスで死んでしまう、首輪をつけるのが一苦労だ、などと適当なことをガイドした。彼らは僕のことをカンボジア人だと思っているようだった。
長い旅をしていると、日本人以外に間違われることが、ひじょうに多くなってくる。だいたい10回に8回くらいは間違われる。ビルマでは、「君はタイ人だ、なぜ日本のパスポートを持っている」と国境で詰問されたし、ベトナムでは、カンボジア人に間違えられた。バングラデシュでは、サインを求められた。

お目当ての夕日までまだ時間があったので、現地の女の子たちがその姿を見てキャーキャー騒ぐ中、僕は裸になって褐色の湖へ飛び込んだ。
かなり沖まで来ていたので、びっくりした。というのも水深が胸のところまでしかないからだ。そして脚が泥にはまっていく!10センチ、20センチ、30センチ。。。やばい!泳がなくては!
優雅な平泳ぎ。肌にとろとろの水が触れ合い気持ちがよかった。たまにヌルリとしたものが脚をかすめたが、まぁナマズかなんかだろうとやりすごした。
ガンジス川で泳いだときは、久美子ハウスの主人、シャンティさんに叱られて(ワニに食われるぞ!と怒鳴られた)満足に泳げなかったので、今回は、じっくりと泳くことができてよかった。

船にあがるとまた女の子たちが大騒ぎした。そして挙句に、養殖魚用の練りえさを投げつけてきた!僕はトランクス一枚だけ履いて、練りえさ攻撃に、習ったこともない空手で対抗!終わらない練りえさ攻撃に僕は、たまらず回し蹴りという大技を繰り出した。すると、彼女たちは一様に何かを叫びそして笑った。構わず何度も回し蹴りをした。
そのうちに、彼女たちの目線がおかしいことに気付いた。そう、トランクスの隙間から、ブツがはみ出していたのだ!さすがに恥ずかしくて、服を着た。服を着ると、彼女たちに誘われて、一緒に魚へ餌を与えた。

そうこうしているうちに、真っ赤で大きな夕日が湖面へと吸い込まれていくところであった。

小さい頃から地図帳を眺めるのが好きで、小学校のときから、社会の授業になると、地図帳を広げて眺めていました。(そのおかげで、めっぽう歴史に疎くなりましたが)「トンレサップ湖」はそんな小学校時代から、その奇妙な名前と、東南アジアで最大の湖という肩書きに惹かれ気になる存在でした。
世界地図だけを頼りに旅をしていた僕は、このトンレサップ湖は外せない、と喜び勇んでシェムリアップへ向かいました。しかし、アンコールワットのその有名さに反して、トンレサップ湖はあまり日の目を浴びていないようでした。
それにもかかわらず、一緒に行ってくれた、「トンレサップ湖冒険隊」のアダム君と将君にこの文章を捧げます。往路に「さすらい」を大合唱したこと、復路に、すっごい汚い屋台で食べたすっごいうまいヌードルのことは今でも鮮明に覚えております。それでは、お2人ともお元気で!
(将くん、はなしを脚色しているけれど勘弁してください!)

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